未来のコンパス

教育、環境問題についての思いや学びについて綴ります。

教員不足は本当か

 

教員のなり手がない

今年の東京都の教員採用試験の倍率は3.0倍だという。*1

この数字を高いと捉える人はそう多くはないだろう。3人に1人は合格できる。

だが、本当に足りないのは正式採用の教員ではない。

なぜこんなに教員のなり手が減ったのか。そして本当に足りないのはなにか。

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魅力にとぼしくなった

以前は免許を取れば一生使えた。だが、第1次安倍内閣で教員免許更新制が開始。*2

大学で苦労してとった免許も10年で失効してしまうことになった。

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それのどこが問題か。

産休、育休をとっている間に、免許失効してしまう人がいる。

また、60歳の退職直前の55歳頃に免許の更新をする必要ができる。

体力的にきつい仕事である。

さらに、免許を更新し続ける必要があることは、明らかに教員の魅力を損なう。

 

必要な人材の流出

55歳くらいで失効する人は体力的にも厳しくなり、免許を更新しない人も出てくる。

その人たちはベテランとして学校を背負い、若手の教員に頼られる存在である。

そういう人材が流出しているのである。

最近、埼玉県では定年退職した教員も65歳まで再任用するシステムがある。

だが、家庭の事情や本人の体調等、様々な理由で定年、定年以前での退職者は多い。

また、ベテランほど以前の自由闊達な教育現場を知っている。

そのため、今の現場に魅力を感じずに、再任用に応じない人も多い。

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若い教員が増えて必要とされる人

団塊世代の定年が過ぎ、若い教員が増えた。

その中ではっきりしてきたのが臨時採用の教員の不足だ。

臨時採用の教員は~6ヶ月単位での採用で、教員の非正規雇用である。

若い教員が増えたということは、産休、育休に入る教員が増えるということだ。

それに加え、精神的疾患により病気休業をとる教員も増えている。

そのための代替教員がいないのである。

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今までは、産休・育休をとったものの育児に専念するために辞めてしまう人もいた。

しかし、辞めた教員も子育てに区切りがつくタイミングで臨時採用で即戦力になる。

また、採用試験で落ちても次の年の採用試験まで経験を積む機会となってきた。

 

 どれだけ足りないのか

本来なら安心して産休、育休に入ってもらいたいところだ。

だが、産休・育休に入る本人が代替教員を見つけなくてはならないという事態も。

私も同様の経験をした。

産休育休に入る教員の代替教員が数ヶ月見つからなかった。

校長、教頭を始め、他の教員が何とか穴を埋める形で授業を受け持った。

また、代替教員を探すのに校長、教頭が電話をかけるのも常態化しつつある。

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 ちなみに教員の人事は本来は教育委員会の仕事である。

 

なぜこのような事態になったのか

今まで見てきたような2000年代以降の変化が大きいだろう。 

saho-tamura.hatenablog.com

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 実際この間に何があったのか、次回まとめていきたい。

 

参考

【音声配信】「深刻さを増す教員不足。解決には何が必要なのか」佐久間亜紀×荻上チキ▼2019年8月20日(火)放送分(TBSラジオ「荻上チキ・Session-22」22時~)