未来のコンパス

教育、環境問題についての思いや学びについて綴ります。

【新自由主義の波】2000年代学校教育に起こったこと

今まで内容ごとに教育問題について追ってきた。

ここで年表にまとめ、どのようにして教育現場が苦しくなったかをまとめたい。

 

 

1999年第2次小渕内閣

国立大学の独立行政法人化検討

 

2000年第1~2次森内閣

認可保育所の設置について営利企業の参入を認める。

委託費の使途制限(それまでは人件費、事業費、管理費)が大幅緩和により弾力的運用として他の施設に流用するところが現れる。

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2001年第1次小泉内閣

経済諮問会議において構造改革特区が決まる。

「民間活力を最大限に引き出し、民業を拡大する」という号令の元に、教育にも民営化の波がさらに押し寄せる。

 

2002年小学校学習指導要領改訂

「生きる力」の育成を謳ったこの学習指導要領は実施前から、マスコミ等から学力を下げるとバッシングされた。

子どもの自由でのびのびとした学び方を保証し、学習を単なる知識としてではなく、生活に即した「総合知」に高めるための物にするはずだった。

そのの理念をねじ曲げさせ、総合的な学習の時間は出発前から暗礁に乗り上げた。

 

2003年第1~2次小泉内閣

国立大学の独立行政法人閣議決定(2年後に施行)

今でも国立大学と一般的にはいっているが、もう「国立」ではないのだ!

ここから大学の教員の待遇が悪くなり始め、入学人数や予算、研究に対して国の関与が強まる。

学費も上昇を続ける。

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2006年第1次安倍内閣

教育基本法(教育基本法の改定)施行。

愛国心を押しつけ教育を行政の管理下に置こうとする内容がもりこまれている。

 

2007年第1次安倍内閣

教員免許更新制が実施。これにより今の教員不足を招く。

 これについては以前のブログを見てほしい。

 

saho-tamura.hatenablog.com

 

2008年麻生内閣

小学校学習指導要領改訂

授業時数集あたり3コマ増える。

 2002年度版で削減された指導内容が復活する。

総合的な学習の時間に外国語活動が位置づけられる。

 

2014年第2次安倍内閣

教員の自己評価による給与への反映システム実施。

自己評価という名の校長による評価が始まる。

これにより、教員間がギスギスし始めるところも出てくる。

とってつけたように「チーム〇〇」という学校での結束を図るかのような標語が校長から発せられることが多くなる。

 

2018年第3次安倍内閣

小学校学習指導要領改訂。

学習量の絶対量増える。外国語の教科化、道徳の教科化。プログラミング教育の実施。

 

2019年第3次安倍内閣

新大学入試スタート。

民間の英語試験の導入他、記述式の解答を大学生にも採点させなくては人手が足りないところまで話がきている。

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このしわ寄せは誰に行くのか

以上見てくれば学校への締め付けがどんどん厳しくなっていることは一目瞭然だ。

新自由主義を旗印に小泉内閣が始めたことを安倍内閣が推し進めていることはこの年表からも分かっていただけるだろう。

この20年での変化により、教育現場は大きく変わってしまった。

息苦しい教室になったのだ。

教師は子どもの成長を助ける存在だったのが、監視し、教えることに傾注せざるを得なくなってきている。

教員にもしわ寄せがきているが、何よりも一番の犠牲者は子どもたちである。

 

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次回は今後予想される動きを見ていきたい。

参考

首相官邸ホームページ https://www.kantei.go.jp

文部科学省ホームページ http://www.mext.go.jp

小林美希「ルポ 保育園株式会社 職業としての保育2」世界11月号 岩波書店

森直樹「「知識詰め込み型」からの転換なのか?」世界11月号 岩波書店