未来のコンパス

教育、環境問題についての思いや学びについて綴ります。

教育の質を保つのに必要な時間

田中まさお先生(仮)の最高裁判決が出ました

棄却です

ご存じない方のために簡単に説明すると

田中まさお先生は埼玉県の教員で

教員の勤務時間外の労働を自主的労働とせず

校長命令による正式な労働であると

認めてほしいと訴えています

今までの超過勤務の訴訟では全て教員による

自主的な労働であるという判決でした

(本来は時間外労働は一部を除いて認めない

 校長が時間外に命じられるのは

 生徒の実習関連業務

 学校行事関連業務

 職員会議

 災害等での緊急措置など4項目のみ)

つまり時間外にした労働も労働時間として

認めてほしいということでの訴訟です

今回の判決は東京の高等裁判所

その訴えを棄却したものです

教員の時間外労働を一部認めた地方判決を

そのまま認めることになります

 

そうすると今まで当たり前に行なっていた

子どもたちのノートのチェックや

作文の直し、授業参観の準備、保護者への連絡

掲示物へのペン入れ等はじめ

さまざまな子どもたちの学校生活に

必要なことができない

(他のことを優先すべし)となります

これを受けて教員からは

上の表の×のついたものはやらないようになど

批判の声が上がっています

皆さんが教員の仕事として

思い浮かべるものとして上のものは

だいぶ入っているのではないでしょうか

しかし実態としてそれ以外の業務もあり

それが本来子ども達にしてあげるべき

ノート指導や作文添削など

時間外にするしかなく×がついた状態です

この判決には首を傾げます

×の付いているものほど教員としては

丁寧にしてやりたいポイントでもあるからです

 

今は土曜日が休みになり授業時数削減のはずが

学力が落ちるとの大批判が巻き起こり

(2000年ごろです)

「学びのすすめ」なるものが出されて

それまでのゆとりのある学習から

詰め込み教育へとバックラッシュが起きました

そこで減らされるはずだった内容が復活して

授業時数の割に内容が多かったり

授業時数自体が増えたりして時間的なゆとりは

全くなくなりました

勤務時間いっぱい子どもがいる状態ですから

工夫した授業準備をする時間がありません

仕方なく教科書通りやるのでつまらない授業に

必然的にならざるを得ません

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学ぶ楽しみを味わわせることが

教員の醍醐味であると思いますが

それができない状態が続いています

教員の仕事は実に1日1日が成長の連続で

楽しいものであることは

教員を志す人なら知っています

しかしながらそれを断念する人も

多くなってしまっています

教員養成系の大学の倍率すら

低くなってきているようです

これでは教育が良くなるはずもありません

大学3年から教員採用試験を

受けられるなどとする自治体が増えていますが

問題はそこではなく業務削減です

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教育委員会がすべきことは採用も

あるかもしれませんがそれ以前に

仕事を減らすことです

真に子どものためになる仕事を時間内にできる

健全な労務環境を整えることこそ

急務だと断言します