未来のコンパス

教育、環境問題についての思いや学びについて綴ります。

Climate Reality Project 「24時間リアリティ」行動デー 報告2

前回はプレゼンが始まる前のリポート。

今回は櫛渕氏(全国ご当地エネルギー協会事務局長)の映像プレゼンと、亀山氏(国立研究開発法人国立環境研究所社会環境システム研究センター副センター長)の気候危機に対する世界の流れとアメリカのパリ協定離脱についての報告をまとめていきたい。

 

今回の趣旨と議員のコメント

今回は12月2日~のCOP25前に政府の動きを加速させることを目的に開かれた集会。

参議院議員ながえ議員からは

「愛媛でも昨年の豪雨災害があり、地域でもこれを危機として捉えている。国が危機として捉えても、政策を打ち出せないということ(が問題)だろう。」

同じく嘉田議員より、

「滋賀の琵琶湖は冬の寒さで循環しているのだが、循環できず湖底が低酸素化に陥っている。自治体が動かなければ国が動かない。」

といったコメントがあった。

 

映像プレゼン【アル・ゴアの資料の概観】

主な内容は以下の記事に重なるところが多かった。

 

saho-tamura.hatenablog.com

私たちは変わらなければならないのか。

私たちは変えることはできるのか。

私たちは変えようとしているのか。

この三つの問いから考えていく。

 

過去最も暑かったのが2000年以降に集中している。

海水温も同様である。

このことが台風やハリケーンの巨大化を加速させている。

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温暖化の主な原因は石炭火力発電である。

日本の石炭火力への融資は中国に次ぐ2位。  

2070年海水面上昇による水没危険都市10位の中に東京が入っている。(第7位)

被害予想額1兆円は日本の1年の国家予算に当たる。

グリーンランドの氷解と東京はつながっている。

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アメリカ国防総省は、気候変動が食料や水の不足、流行性の病気、難民や資源の問題として捉えている。食糧難は難民を生み、食糧の高騰を招き、紛争につながる可能性がある。

つまり安全保障の問題だということだ。

以上のことを計算したとき、炭素を出せば出すほど被害額が上がり、コストとして高くつくということが分かる。

風力、太陽光エネルギーはコストがどんどん下がっている。

雇用の創出、リチウムイオン電池の開発と変化はどんどん進んでいる。

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蓄電池の開発も進んでいる

石炭火力から各国は撤退している。

それに対して日本は増やしている。

評価できる政策を提言してほしい。

 

気候危機に対する世界の流れ

上のプレゼンでも見た通り、気候変動の影響による食糧不足、貧困、紛争は難民の発生につながる。

アフリカ・ヨーロッパでは

2017年以降アフリカのチャド湖周辺地域で気候変動による被害は特に深刻である。

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国際連合安全保障理事会で気候変動に取り上げられるようになったのは2007年。

イギリス始め、ヨーロッパが議長国になるたびに取り上げられるようになった。

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なぜなら地中海を隔てているだけで、アフリカとヨーロッパとは近い位置関係にあり、難民の流入が続いているからである。

オセアニアでは

島が沈むことによって排他的経済が縮小し、水域海洋資源の争いは増えることが予想される。

島が沈んで難民となった人たちがオーストラリアやニュージーランド流入している。

2014年水没危機に瀕しているキリバツがフィジーに20㎢の土地を購入している。

また、ツバルも水没危機に瀕しており、たびたび被害が出ている。

アメリカは

トランプが大統領になり、パリ協定を離脱するといっているが、まだ意思表明の段階に過ぎない。(2015年12月採択、2016年11月発効、3年間は離脱通告できない、通告後1年しないと離脱できないというルールがある。)

それを待っている間に、ハリーケーンの被害やカリフォルニアの火災の拡大を受けて、アメリカの国民の意識が変わっていっている。

離脱が発動されるのはちょうど次の大統領選の翌日(来年11月)である。

そのため、今、繰り広げられているキャンペーンでは気候問題は大統領選の大きな争点となっている。

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また、アメリカでは州の自治権が強いためトランプが何と言っても、州ごとに動くことができる。

50州中、24知事+プエルトリコは気候変動対策に賛同している。

このような大きな流れの中で、トランプも気候変動に対して強硬に反対を続けることは難しくなってきている

 大阪でのG20での声明においても、アメリカのパリ協定離脱に関して、「パリ協定は離脱するが、国際的には協力する」といったものになっている。

さらに、2019年4月には再生可能エネルギーの発電量が石炭火力を上回るということも起きている。

 

ここまでのまとめ

気候危機は、省エネと言ったレベルの話ではなくなり、国を脅かす危機=安全保障問題になっている。

日本でも「堤防を高く」「電線の地中化」といった適応策以上に、これ以上温暖化を進行させない政策的緩和策が重要となる。

 

では緩和策とはどんなものが考えられるのか?

次回は日本版グリーンニューディール等提言について報告する予定。

お楽しみに!