未来のコンパス

教育、環境問題についての思いや学びについて綴ります。

気候カジノ

2018年のノーベル経済学賞受賞の

経済学者ノードハウス。

彼の書いたのが

『気候カジノ』*1だ。

今回はこの『気候カジノ』に

書かれたことを整理し、

今回の台風被害について考えてみたい。

 

気候変動の実際

ノードハウスに限らず、

実際に気候変動により様々な生物が

被害を受けていることは

誰もが知るところとなった。

ノードハウスも珊瑚礁死滅について言及、

IPCCの報告と照らし合わせて、

海水の

二酸化炭素濃度上昇と、

海水温の上昇によることを認める。

また、今後の被害や経済的な被害額

についても予測している。

3℃くらいまでなら、

世界的に見ると生産性は上がるが、

そこで気温上昇を止めることは難しく、

限定的な対策では対費用効果としては

高くつくことになると述べている。

なるべく早く手当てをしないと

手当をしたときに比べ、

長期的に見たときの

被害額は膨大になる

と言っている。

「長期的に見て」というのがくせ者だ。

なぜなら、

政治は長期的展望に立つことは難しく、

われわれは目の前の利益

優先しがちだからだという。

われわれのできる対策としては

海面上昇による浸水に備えて、

水没する所からの退避を提案している。

しかし、コミュニティーへの帰属意識等、

個人的な問題として考えたときには

勝ち組と負け組に分かれることとなり、

課題の一つとしている。

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気温上昇の主な原因

気温上昇の最大の原因として

石炭石油火力による発電

をあげる。

われわれは電気に限らず、

移動手段としても自動車、飛行機など

ガソリンを大量に消費している。

これは国内でも飛行機を頻繁に使う

アメリカに特に当てはまる内容だろう。

しかし、われわれとて例外ではない。

移動手段として自動車を

手放すことは相当な痛みがある。

 

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最近では再生可能エネルギー

値段は下がってきたとはいえ、

まだまだ石炭火力の方が

発電の効率がよく、値段も安い。

それで、再生可能エネルギー

簡単に切り替わらないのだ。

実際、日本が東南アジアや国内でも

石炭火力に投資している額が

他の先進国に反して多くなっている。

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経済学者からの提案

経済学者の視点から、

提案されたことは炭素税だ。

今ではみなが知るところだ。

しかし、政治的思惑が絡み、

炭素税に踏み切る国は多くはない。

日本も同様である。

さらに、この本が書かれたときから

後退しているようにも見える。

元のガソリンに

税をかければ

自然とその商品やサービスにも

反映されるのだから、

自動的に

市場原理に則り、

代替エネルギーにシフト

するはずなのだ。

 

今回の台風被害

今回の台風15号・19号では

風による被害、洪水による被害が

甚大なものとなった。

これからは海水温が上昇による

台風の巨大化が指摘されている。

こういった被害がこれからは増える

可能性が高いということだ。

避難に関しての情報の不備や、

不適切な情報発信などが

ニュースを賑わせている。

さらに、八ッ場ダムに関しては、

「できたから良かった」ということを言う

一般の人の話のみならず、

鬼の首を取ったかのような

政治家の発言もあるが、

ダムに関して言えば、

ダムで治水を考える

限界を感じるのは

ダム下流民の

素朴な感想である。

ダムが満水になって発せられる

放水を知らせる放送は、

実に恐ろしいものだったし、

放水することで逆に

被害を発生させている

ところもある。

コンクリートにお金を割き、

人を減らしたことで、

災害時に対応できる

人が足りず、

対応現場の混乱は目を覆うばかりだ。

国土交通省の河川状況に関する

情報提供も杜撰だった。

復旧にコンクリートがたくさん使われ、

お金もたくさん使われる。

しかし、それとて一時しのぎに過ぎない。

根本的な対応を考え直す時がきている。

 

避難の実際

私が住む地域も河に挟まれ、

洪水の危険の大きいところだ。

しかも、洪水がなくとも、

低い土地のため、洪水はなかったが、

道が冠水し、

もう少しで避難することすら

できなくなるところであった。

避難するにしても、まずは体育館。

洪水の危険に対して低い土地の

学校の体育館とはあり得ない話だ。

その後、校舎の2階以上に避難という

避難のし直しになった。

想定されるハザードマップ

を見ても、始めから校舎に入れないかと、

私は考えていたので憤慨した。

疲れて、不安に思っているところへ、

この対応は実に

精神的なダメージが大きい

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広範囲で洪水が

避難するときに持って行けるもの

避難するときに持っていく物として、

備蓄品などを考え、用意していた。

そのため、

持ち物で悩むことはない

と思っていた。

しかし、実際避難しようとすると

市からのメールで、

毛布等できれば持ってくるようにと。

無理である

土砂降りで、

重たい水や食料も持つ。

元気な中高生含む4人家族でも

そんなにたくさん持てない。

できれば避難所に備蓄してほしい。

地震、火山、台風など

気象災害の多い日本である。

スフィア規準*2

に則した避難所の設置を

常時用意する必要がある

のではないだろうか。

*1:

 

気候カジノ 経済学から見た地球温暖化問題の最適解

気候カジノ 経済学から見た地球温暖化問題の最適解

 

 

*2:

jqan.info