【映画レビュー】「ハドソン川の奇跡」Sally 人にわかってもらうことの難しさ
クリント・イーストウッドの作品
2009年に起きた実話を元にした作品。
日本でも話題になったから覚えている方もいるだろう。
飛行機がハドソン川に不時着したニュースである。
日本ではもっぱら「無事で良かった」という内容の報道だったように記憶している。
しかし、実際はそこからが大変だったのであり、その後の調査の様子が映画の内容である。
クリントイーストウッドは実話を元に作品を作るのが実にうまいと思う。
インビクタスも彼の作品である。
人の善意が人を救う
この映画で一番良かったのは、不時着後すぐにハドソン川で仕事をしている船達が集まってきて乗客乗務員を協力助けるシーンである。
たったの24分で全員岸へと避難することができたという。
飛行機が不時着の体勢に入るのをみるやいなや、それぞれ自発的に集まり、あっという間に乗客乗務員を引き上げ、全員を岸へと導いたのである。
指示待ちなどせず、あっと思ったら動くこの精神が人々を救ったのだ。
さもなければ極寒の川の中で低体温症などで被害者を出してしまっていたかもしれない。
ニューヨーク市警が動くのがそのあとだったと、TVリポーターは皮肉っていた。
日本の報道はそのようなことを言わないのだが、(言うとクレームや指導が入る?)もっと市民の気持ちを代弁してくれた方が視聴率は上がると思う。
記録の大切さと人の判断
ここで問題になったのが、なぜ川に着水したのかということである。
飛行場へ戻る選択肢があったのではないか。
公聴会でさんざん聞き取り調査をされ、自身もその判断が会っていたのか何度も思い返しては考える。
しかし、最後の決め手となったのはレコーダーの音声。
その判断がどうだったのか、証拠として決め手となった。
そのレコーダーからわかるのは、記録の大切さと、人の判断の大切さである。
今の新型コロナに関しても記録の有無が国会を賑わしているが、記録は絶対に必要であるとこれを見ても強く思わされる。
記憶は曖昧になり、人に伝えるときに正確に伝わらない可能性があるからである。
あんなにも大勢の乗客乗務員が、口を極めて絶賛しても、調査ではそれは数に入らない。
必要なのは証拠である。
人に何かをわかってもらうには客観的な証拠が必要なのだ。