「私はダニエル・ブレイク」と日本の福祉と家族の行方
話題の監督ー50周年ー
経済的に「格差」を通り越して、「階級」になりつつあると感じているのは私だけだろうか。
こういった社会のあり方に疑義を呈した作品を作っているのが、ケン・ローチ監督である。
鋭く福祉と人間の尊厳に切り込んだ「わたしはダニエル・ブレイク」
働けないものは行政をたらい回しにされたあげくに、尊厳を失っていく。
行政は申請主義であり、申請できないものは見捨てられる。
きちんと書類の用意できない者は門前払いである。
新自由主義の旗を振って進むイギリスの後を追う日本。
イギリス同様福祉を切り捨てようとしている。
ツイッターなどを見ていると、福祉を全く人ごとのように思っている人が多いことに驚く。
しかし、明日自分が福祉の恩恵にあずかる身になるかもしれないのだ。
私自身、今、働くことができずに、貯蓄を切り崩しての生活である。
今すぐこの登場人物になってもおかしくない。
定年まで働いて年金で暮らす、というモデルはもう成立しなくなっている。
いつ病気や事故で働けなくなるかは神のみぞ知る、いや神すら知らないかもしれない。
安心して人間が人間らしく最後まで過ごせる社会を作るためには、日本国憲法にあるように「国民の不断の努力」が必要なのだ。
決して今の状況に絶望することなく、ねばり強く戦っていくことが求められているのかもしれない。
パルムドール受賞監督の新作
「わたしはダニエル・ブレイク」は是枝の前の受賞で2016年の作品だ。
新作「家族を想うとき」が公開される。
今回は働き方の問題と家族がテーマだ。
宅配ドライバーの父親、介護士の母。
日本にもよくある家族ではないだろうか。
仕事がこの家庭を引き裂いていくという。
人生100年とは言うが、決して100年が同じ時間の流れ方をするわけではあるまい。
どのように人生を送るのか、深く考えるきっかけを与えてくれそうな作品である。