【映画レビュー】「パブリック 図書館の奇跡 (The Public)」
図書館とは
さまざまな人が、情報を求めて図書館へやって来る。
特にアメリカやヨーロッパでは本の貸し借りだけではなく、インターネット利用なども含まれ、広く基礎的なインフラの一つとして数えられるようになってきている。
この映画はその図書館を舞台にした話である。
公共施設であるため、広く開かれたこの施設にはさまざまな人が集まる。
と同時に、プライバシーを守ることも図書館は宣言している。
これは日本も同様である。
読む本、アクセスする情報からその人の内心に勝手に立ち入ったり、自由を奪ったりすることがないようにと言うことが大切だからである。
そのような図書館で起きた事件は、極寒の夜の不法占拠である。
基本的人権を守る
図書館は基本的人権に大きく関係している。
それぞれの人の内心の自由、健康的文化的最低限度の生活の保障、学習権など、上げればほとんどすべての権利に当てはまるのではないかと思うほどさまざまな権利を保障する施設だ。
だから、親子といえども簡単にそこにいるかどうか、何を読んでいるかなど開示することははばかられるのである。
そこは館長の言葉を借りれば「民主主義の最後の砦」なのだ。
そんな思いを込めて作られたストーリーだと言うことがよくわかる内容だった。
よく練られたストーリー
貧困に陥っている青年が目からレーザービームが出ると言って、人と目を合わせない。
なぜか。
対処してやることでその子の人生は一変するだろう。
民主主義の最後の砦として、警官の突入を防ぐにはどうしたらよいのだろうか。
それは決して暴力に訴えることではないはずだ。
一体どのように収まりをつけるのだろう。
この人達がして欲しいことは、極寒の夜に寒さをしのぐところがないのを何とかして欲しいということなのに、どうして警官が突入するようなことになってしまうのか。
その報道は誰のためのものなのか。
一つ一つが大きな疑問になって私たちにのしかかる。
はじめから終わりまで伏線がはられており、見逃すことができない展開だ。
明日は我が身
登場するホームレスの人たちもはじめからホームレスではなかった。
ある日突然失職したと思ったら、軍を退役したら、…もうホームレスになっていた。
仕事ができなくなることもあるだろう、仕事を失うこともあるだろう。
路上生活者になったとたんに、不審者を見るような目で見られるようになるとも言ってた。
なるほど、そうだろう。
日本も例外ではないのだと、明日は我が身ではないかと恐ろしくなるのである。
そうなったときに手をさしのべてくれる人は果たしているのだろうか、そんな優しい社会だろうかと考えるのである。