【映画レビュー】「タゴール・ソングス」生活に根付いた哲学
仮設の映画館で鑑賞
仮設の映画館で鑑賞。
第2弾は『タゴール・ソングス』。
予告編を見て一目惚れした。
タゴールとは、約100年前のインドの詩人・哲学者・劇作家で、1913年にノーベル賞受賞。
恥ずかしながら、私はタゴールの名前を聞いて、「そんな人もいたっけなあ」という印象だった。
では何に一目惚れしたかというとその旋律と人々の様子である。
タゴールとは
先にも書いたが、タゴールはインドの哲学者という立ち位置ではあるが、場所としてはインド東部のウエストベンガル州とそのとなりの国、バングラデシュに息づいているようだった。
コルカタで生まれ、生涯を過ごしたようである。
おじいさんは東インド会社で働いていたようで、裕福な家庭だったようである。
以上のことは映画だけではわからなかった。
とても興味深い哲学を持っているし、力強い詩やナイーブな心を表した詩が多数あり、その生い立ちや生涯に興味を持った。
映画でこの辺のことにももう少し触れて欲しかった。
しかし、タゴールの詩や歌がバングラデシュの独立に、力を与えたであろうことは想像ができた。
生活に根付く音楽
タゴールの歌は広く家庭や学校で歌われ続けてきたそうだ。
子どものころから口ずさみ、大人になって、その意味を実感することもあるという。
生活に根付いた歌から、そのように人生のヒントを得られるとしたらどんなに心強いだろうか。
そのような哲学を持つことは人生にとってプラスに働くだろう。
迷ったときの指針を心に持っているのだから。
地味ではあるが、それ故にしっかりと心に根を下ろし、その人の生き方に作用する。
そんな音楽なのである。
今必要とされる歌
今、社会にはさまざまな軽い言葉があふれている。
そんな状況に少々疲れてきた。
そんなとき、タゴールの歌は力強く心に響く。
自分の心をしっかりと持て。
自分の信念を貫くのに周りの目を気にすることはない、と強く背中を押してくれる。
メロディーは伝統的な民謡からとっているようで、インド音楽特有の心地よさでゆったりとゆられているような気分になる。
空疎な言葉や強いののしり言葉などで傷つきやすい今こそ、この映画を見る価値があると思う。