未来のコンパス

教育、環境問題についての思いや学びについて綴ります。

【映画レビュー】「サウンド・オブ・ミュージック」Sound of Music ②

前半は子どもたちの成長について書いた。

後半は歴史に焦点を当てたい。

 

色濃くなるナチスの影

一番上の女の子リーズルの好きな男の子、ロルフは実はヒトラーユーゲントに入っている。

それは、大佐に見つかった時に思わず、ヒトラーへの敬礼をしたことから分かる。

大佐が歌うあまりにも有名なエーデルワイス」の歌も、実はナチスに対する祖国を讃える歌だ。

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これは後半、音楽祭でも歌われるところで特によくわかるだろう。

そして、周りにもナチスの影が。

自宅で、再婚相手にするつもりだった男爵夫人を紹介するパーティーで、オーストリア国旗に嫌悪感を示す輩がいる。

そこではすでに大佐がナチスから睨まれていることを示している。

最終的に、一家はオーストリアから脱出し、アメリカへ渡るのである。

 

オーストリアの事情

ここで少し物語を離れて、当時のオーストリアの状況を見てみよう。

オーストリアは1867年にはオーストリア=ハンガリー帝国になる。

1800何代後半からは帝国主義が盛んになり、フランスでは、ナポレオン3世が、様々な国に対して出兵している。

同時に、ドイツではプロイセンが誕生した。

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プロイセンも鉄血宰相ビスマルクが有名なように、フランス、オーストリアを破り、それまで分裂していたドイツを統一し、強いドイツ帝国を作る。

帝国主義の全盛期である。

この後第1次大戦に突入する。

サウンドオブミュージック」の時代では第1次大戦に敗れ、共和国となったオーストリアである。

 

年譜

以降年ごとに追っていくと次のようになる。

大戦後のベルサイユ体制により、オーストリア=ハンガリー帝国は解体、オーストリアは共和国に

ドイツも共和国となったが、インフレにより苦しむ中で、その不満を吸い上げる形でナチスが台頭

  • 1936年、日本では2.26事件。
  • 1936年、日独防共協定。
  • 1937年、イタリアも加わり、三国防共協定。
  • 1938年、ドイツがオーストリアを併合する。

この1937~8年が、サウンドオブミュージックの時代である。

 

息詰まる逃避行

マリアと大佐がネムーンに行っている間に、この併合が行われ、2人は急ぎ帰ってきたのである。

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同時に、大佐にはベルリンから招集令状が届く。

それを嫌い、地方長官の目をくぐり抜けて、なんとかスイスへと逃亡するのが物語の後半である。

 

 映画の背景を知ろう

映画の背景を知ることでより深く映画を楽しめる。

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場合によると、突っ込みどころ満載の映画もあるので、そのチェックも楽しい。

歴史を知ること、それぞれの国のことについて知ることで楽しめる範囲が広がる

 

参考 岡崎勝世 鈴木菫 並木頼寿監修『パワーアップ 世界史資料 初訂版』帝国書院