説明責任と自治
NHK土曜ドラマ
以前放送された『六畳間のピアノマン』。
現代社会が抱える問題を一つの出来事を多角的に捉える意欲作でした。
そして、今話題になっているのが、『今ここにある危機とぼくの好感度について』。
これは国立大学が舞台となっているため、教育に関心がある人はぜひ見て欲しい作品。
といってももう次が最終回。
ぜひ再放送して欲しいと思います。
リスクマネジメント
そのドラマの第三回は、リスクマネジメント。
「意味のあることをいわない」のが最大のリスクマネジメントだと主人公は力説。
それはもちろん今の政権の姿と重なり、SNSで話題になりました。
果たして学校はどうでしょう。
すべての行政に似たようなことが行われているのではないかと私は感じています。
誠実に説明をし、相手の理解を得るようにしているでしょうか。
知らないところで物事が決まっていることが多いのではないかと感じています。
そして、もう一つだいじなことを言っていました。
大学の自治です。
大学への交付金が減らされている
大学への交付金が減らされ、研究が思うようにできない状況が続いているようです。
ポストドクターといわれる非正規の研究者の問題もあります。
主人公は一般的な市民の目線を捉えているようでした。
「大学がすぐに社会に役に立つ研究をしてお金をもらう」ことがなぜダメなのか。
「大学が国の傘下に入ること」はなぜ良くないのか。
それに対する答えを簡潔に古館寛二が演じる理事が述べてくれています。
学問が国家のために行われるようになった結果は太平洋戦争を見ればわかることです。
そこに強いNOを出さなくては同じ轍を踏むことになります。
ですから、学術会議の任命拒否問題に学者たちはねばり強く気を上げ続けるのです。
楽しく学ぶ
もっと多くの人にこの危機感を共有して欲しいと思っています。
しかし、教育一般の問題同様、なかなか興味をもってもらえないのが現状です。
このドラマは、楽しく見られると同時に、警告を発しています。
「ちょっと変だぞ」とは思うもののスルーしがちな問題を取り上げてくれています。
アクティビストの話を聞く機会が、4月にありました。
その時に皆が共通して言っていたことがあります。
楽しい活動にしなくては共感してもらいにくいということです。
そういう意味では、このドラマはコメディという手法で楽しく見られます。
しかも深く問題を抉ってくるのです。
あと残すところ1回ですが、まだ見ていない方にはおすすめのドラマです。