未来のコンパス

教育、環境問題についての思いや学びについて綴ります。

コンドルセから見る教育のあり方

 

コンドルセの思想

新しい世代は古い世代をのり越える権利を持っている

なんとも素晴らしい言葉だと思いませんか。

未来への明るい展望がひらけてくるようです。

この言葉はコンドルセの考え方について堀尾輝久が解説した言葉です。

コンドルセは18世紀のフランスの人です。

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フランス革命の時には、人権宣言を憲法に先んじて行うことを主張しました。

しかし、革命の中で国が教育権を握ることになり、それは取り入れられませんでした。

コンドルセの「教育」

コンドルセは人権思想家です。

人権の中に教育を受ける権利があると言われるようになったのはこの頃からです。

フランス革命により、フランス人権宣言が出されます。

その前には多くの思想家が教育について書きました。

ルソーはその著作『エミール』で「子ども」の発見をしたと言われています。

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その同時代に生きたコンドルセ

コンドルセは次のようなことを言ってます。

「新しい世代は教育によって、古い世代を超える権利がある」

たしかに子どもたちは次の新しい社会を作り上げていく人たちです。

私たちが作ってきたものを土台にし、また反面教師にし、さらに良い社会をつくる。

そのための力をつけるのが教育に求められる役割ではないでしょうか。

そう考えると、今「来るべきソサエティ5.0に向けて」などという軽々しい文句が踊っているのはいかがわしく思えてきます。

新しい社会をつくる力

新しい社会をつくるのは子どもたちであり、私たち大人世代ではないのです。

それを忘れ、子どもたちに「新しい社会に対応した」教育をという。

これは傲慢なことではないでしょうか。

私たちが子どもたちにつけさせなくてはいけない力は何でしょうか。

自分で自分のことをよく知り、やりたいことを自由にできるようにするための力です。

そして、社会をより良くするための力です。

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政治の仕組みや参加の仕方、自分の権利についても知らなくてはなりません。

それをなしにただ新しい知識を入れていくだけの教育で子どもは育つでしょうか。

それでは、どんな最新式の機器を活用しようが、どんどん古びていきます。

そこで得た技術的知識は使い物にはなりません。

必要なのは、自ら考えて行動できるだけの社会的知識と実行力です。

学校教育はそれに見合ったことをしているでしょうか。

保護者はそのようなことを考えた教育を心がけているでしょうか。

18世紀からコンドルセに問われ続けているように思われます。

 

参考文献

堀尾輝久『人権としての教育』岩波書店