【映画レビュー】「春を告げる町」復興について考え続けること
仮設の映画館上映作品
仮設の映画館での鑑賞第3弾!
気になっていた福島の原発による被災地に寄り添うドキュメンタリー。
福島県広野町を追う
この映画では帰宅困難区域だった福島県広野町が、解除になり仮設住宅を出るところから始まる。
広野町は福島原発のある双葉町の南側で、いわき市と双葉町のちょうど中間くらいの位置である。
その広野町の数世帯とふたば未来学園高等学校の演劇部を追ったドキュメンタリーである。
解除になってからが本当の復興が始まるのだろう、と思っていたが、復興という言葉はどうも上滑りしているようだ。
復興とは何か
何をもって復興とするか。
復興に対するイメージが人によって違う。
冒頭のふたば未来学園高等学校の演劇部の様子を見ていて、強く感じたことだ。
ゴールがわからない。
だから、終わったことにしたいのだ。
みんなが現実から目を背けたくなる。
しかし、厳然として人が住めない地域、住めなかった地域での共同体の崩壊は続く。
祭りもまた
地域で大切にされていた行事も出来なくなる。
しかし、こちらは震災のせいばかりではなく、若者離れが原因のようだ。
なんとかどんど焼きは聞きながら、再現していた。
これは続いているのだろうか。
そして、困難だと集落の古老たちが言っていた祭りはどうなったのだろうか。
とても気になるところである。
復興とは見続けること
私は双葉町の人たちと、関係のある仕事を少しさせていただいた経験があるため、とても身近にこの「復興」という問題を考えているつもりだ。
しかし、じゃあ、復興ってなんなの?と聞かれると返答に困る。
この映画を見て感じた事は、復興とはするものではなく、いつもing形でしているかどうか、きちんと見届けていく事なのではないかと思った。
自分には大した事はできないが、関心を持ち続け、見守っていく事、そして気がついたことを発信していくことではないだろうか。
被災されている方にはもうそのことに触れて欲しくない方もいるだろう。
新たなスタートを切り、心機一転頑張っている人もたくさんいる。
そういうやり方ももちろんある。
それぞれの復興の形は違う。
だから、政府筋から復興がどうしたとか復興五輪だとか言われると腹が立つのだ。