未来のコンパス

教育、環境問題についての思いや学びについて綴ります。

【映画レビュー】「ゴッドファーザーパート2」The Godfather Part2 家族やコミュニティのありかたを考える

マイケルの家族

マイケルは愛妻のケイとうまくいかなくなる。

1番上の兄、ソニーは1作目で死んでいる。

2番目の兄、フレドともうまくいかない。

フレドは口が軽すぎてファミリーを危険にさらす恐れがあるのだ。

そして妹のコニーもダンナをマイケルに殺され、その恨みが消えない。

トムもラスベガスとのつながりができ信用しきれなくなってしまった。

マイケルは全く孤独になってしまうのである。

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同じようにファミリーを作っていたビト(ドン・コルレオーネ)との違いは何か。

見ながら考えさせられる作品だった。

 

ビトの人柄

ビトは両親と兄をシチリアのコルレオーネでドン・チッチオに殺され、全くのひとりぼっちでアメリカへと逃亡する。

ビトは実に真面目である。

勧善懲悪で弱きを助け、強きをくじく。

助け、助けられ、日々を過ごす。

イタリア人同士の共助がそこにはあった。

その人柄から徐々にコミュニティーで頼れる人物として認知されていく。

実際に殺しをしたのも、同じイタリア人から上がりを巻き上げようとした人物と、自分がシチリアから逃げ出す元となったドン・チッチオが相手である。

困ったことがある人が助けを求めれば助け、自分が受けた恩は忘れない。

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だからビトは多くの人から好かれるし、力を持つことができた。

家族も大切にし、一緒にいる時間を大切にした。

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家族の絆もこうして深められていたのである。

 

跡継ぎ問題

後を継がせるのに1作目で悩んでいたように、ビトの子どもたちで頼れる人物がいなかったことが悲劇の始まりだろう。

マイケルは大学へ行き、太平洋戦争が始まり、海軍へと進む。

ソニーは自己抑制がきかず、トムは養子のようなものだ。

フレドは口が軽く落ち着きがない。

従って自然とマイケルに跡継ぎ問題が収まっていくのも仕方がないことだ。

このことは先に書いたゴッドファーザーで詳しく描かれている。

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もしソニーがトムと一緒に落ち着いて考えられる人物だったら結末は違っていたかもしれない。

 

ビトとマイケル

たったひとりでアメリカへ来て、巨大なファミリーを築くビト。

多くの家族に囲まれていたところからひとりぼっちになっていくマイケル。

一つ違いがあるとすれば、ビトは信頼関係で相手を懐柔し、ファミリーを築いていくことができたのに対し、マイケルは敵と見なした人物は徹底的に殺してしまったことだろう。

さらにいえば、急激に力を持つことになったマイケルは、ケイや子どもたちと過ごす時間が少なかった。

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時代が違うとは言え、やり方の違いもあったのではないかと思う。

人間を結びつけ、平和裏に物事を運ぶには信頼関係がものをいうということだ。

この二人の物語が対比をなしていて、もの悲しい。

 

ゴッドファーザーは家族の物語

私はゴッドファーザーのシリーズはただのマフィア物という認識だったが、今回見てみて、家族の物語だということがよくわかった。

暴力シーンに恐れをなして見ていなかったが、まだ見たことのない人にもお勧めできる映画だと思う。