【映画レビュー】「羅生門」は藪の中…
原作・芥川龍之介
モチーフは「藪の中」であるが、羅生門で雨宿りをする男たちの会話から察するに、「羅生門」も少し入っている。
赤ん坊の着物を剥いで行く輩は下人にそっくりである。
もし読んだことのない方がいらっしゃるようだったら、藪の中はすぐに読み終わるので、目を通すといいと思う。
光る役者の演技
藪の中がストーリーであるので、同じ「殺しの場面」でも心持ちやセリフ、動きが全く異なる。
その時の心情に合わせて演技をすることで、どの話にも真実味がある。
特に恐ろしいのは京マチ子で、原作でもなかなか恐ろしいことをしでかしてくれる女なのだが、凄みを感じる。
また、志村喬は黒澤映画の常連であるが、そのたびに姿勢や体つき、表情が役にぴったりで驚かされる。
今後の日本映画界
今の役者でここまで出来る人はいるのだろうか。
是枝裕和監督の映画や河瀬直美監督の映画などで見かける程度である。
これからの映画界はどうなっていくのだろうか。
今年の日本映画祭では「新聞記者」が3冠。
主演女優は韓国の女優、シム・ウンギョン。
日本の女優は皆断ったという。
彼女に匹敵する女優が果たしているのかは、疑問符がつく。
松坂桃李は演技もよく頑張ったと思うが、あと一息深みが欲しい。
個人的には、この映画に出演したことも含め、松坂桃李の成長を期待する。