新しい教育始まる?
大正新教育運動
先日、テレビをつけていたら大正新教育運動について取り上げられていました。
教育に携わる人でも、大正新教育運動を知る人はそう多くはないかもしれません。
私は時は同じ頃のヨーロッパでの新教育運動について大学で研究しました。
新教育運動は世界的な広がりをもち、1900年頃から1930年頃まで行われました。
そこで最近ちょうど大正新教育運動についても興味を持ち本を読んだところでした。
そのTVにも興味をもち、途中から見ました。
大正新教育運動の挫折は、社会の要請に合っていなかったことが原因の一つです。
番組で取り上げられていたように、保護者からのクレームが大きかったようです。
しかし、番組であったように学歴主義が原因とは考えにくいのが私の考えです。
保護者の意識自体が大きく戦争に向けられはじめました。
それは自由主義の教育をよしとしない文部省の政策と大きく対立したからです。
それが大きな原因だと思われています。
ヨーロッパの新教育運動も同じ道をたどりました。
アクティブラーニング
今、学校ではアクティブラーニングをするようにと文科省から言われています。
確かにこれは新教育運動の理念と似ています。
しかし、学習指導要領には書かれていません。
学習指導要領というのは学校で教える内容や目標、注意点が書かれたものです。
といっても、「アクティブラーニング」とは書いてありません。
以下の「改訂の考え方」で初めて出てきます。
下のリンクはとべないのでコピーしてウェブサイトで見てください。
https://www.mext.go.jp/content/1421692_6.pdf
その前にある、改訂のポイントにはでていません。(これもとべません)
https://www.mext.go.jp/content/1421692_1.pdf
なぜ、アクティブラーニングなのか、これではよくわからないのが本当のところです。
アクティブラーニングの前に
アクティブラーニングでは、主体的に子どもたちが学ぶ姿を目指しています。
つまり、一人一人に即した指導や支援が必要になるということです。
果たして今の学校にそれができるでしょうか。
アクティブラーニングの他にもいろいろ入ってきています。
GIGAスクール構想、道徳の教科化、英語の教科化などがその一例です。
Society5.0という経産省からの要請のもとに始まったものも多くあります。
障がい者差別解消法により、合理的配慮を必ず考慮することも必要になりました。
一人の先生が(35人学級が実現したとしても)、これをすべてできるでしょうか。
文科省が始めた「#教師のバトン」プロジェクトで明らかになったように、無理です。
Twitterをしている方はぜひ「#教師のバトン」を見て欲しいと思います。
教員の悲痛な叫びがあふれています。
スクラップアンドビルド
学校ではスクラップアンドビルドができていません。
学校で判断できるものでも、保護者や地域の目を気にして減らせないのが現状です。
そこへ山のような課題が文科省から降ってきます。
学習指導要領の解説も指定や例示が細かくなりました。
このような状況で教員の創意工夫の余地は大きく奪われています。
これが新教育運動と似た状況と言えるでしょうか。
全く違うといって良いでしょう。
これで新しい教育と言われても、目の前は真っ暗です。
まずは減らして
何よりもまずは教員の負担も新しい内容も減らすことが肝要だと思います。
自ずと教員に心理的にも時間的にもゆとりが生まれることが大切です。
教員に自由な教材研究の時間ができれば、工夫しようという意欲もわきます。
それは翻っていえば教育方法の改善になり、子どもたちへと還元されていくのです。