不易と流行
Society5.0
Society5.0、耳にしたことのある方も多いのではないでしょうか。
来たるべきデジタル時代。
それを前提とした言葉です。
それをもとに学校教育を変えていこうとする施策が加速されようとしています。
私はそれには懐疑的です。
それよ。そんなことで教育をどうこうするっておかしい。やっと考えてくれる人が出てきたんですね。朗報。社会のあり方から教育を考えるのではなく、新しい社会を作っていく人たちを育てる意識で教育を考えなくていけないと思います。これからの人たちですから、子どもたちは。 https://t.co/wR1ozZaxvT
— 田村 佐保 (@saho_tamura) 2021年5月4日
上のtweetにもあるとおり、Society5.0は科学的なものではないようです。
経済界で生まれた用語だと思います。
時代の変化に合わせた教育
教育界ではよく「不易と流行」という言葉が使われます。
変わらないものと、時代に合わせて変わっていくもの、という意味です。
変わらないものは、教育理念でしょう。
子どもたちの人権を尊重し、一人の人間として人格の完成をめざすことです。
変化に当たるものはそのやり方や取り巻く環境です。
Society5.0は一見環境の変化に合わせているように見えます。
でも、本当にそうでしょうか。
将来がこうなると本当に言えるのでしょうか。
子どもにつけるべき力
今の子どもたちにつけるべき力は、デジタル時代に即したスキルではありません。
それは、あっという間に古くなってしまうことはわたしたち自身が感じています。
10年前はこんなにデジタル機器は普及してはいなかったでしょう。
20年前はもっとアナログでした。
10年、20年は子どもたちにとってはまだ教育の途中段階です。
その中でこんなにも変わってしまうことを教えてもしかたのないことです。
それよりももっと根本的なことをやる必要があると思います。
例えば、問いを見つける力。
疑問を見つけて深掘りする力、これは実際にやってみて身につくことです。
実際の調べ学習はデジタルか
デジタル教材ではさらっとネット情報を見て終わってしまうかもしれません。
しかし、実際に話を聞くとなると変わってきます。
まずは誰に話を聞けるのか調べます。
コンタクトの取り方を調べます。
実際にトライしてコンタクトを取ってみます。
そこで断られるかもしれません。
トライアンドエラーです。
うまくいったら、日時の調整や録音、録画など、記録の取り方の練習も必要でしょう。
これらはすべて実生活に生きてくるスキルです。
この中でデジタルなことは調べる段階と、録音や録画などの記録に関する部分です。
調べてまとめるまでにはもっと時間も手間もかかります。
必要な情報をその中から取り出すのは子どもたちの力です。
デジタル機器ではできません。
デジタルなどほんの一部分に過ぎないことはおわかりいただけると思います。
流行に流されず
今の教育は流行に流されそうになっています。
世の中の声もSociety5.0やGIGAスクール構想など、デジタルに傾きがちです。
しかし、実際に子どもたちに必要な力はそれだけでは育ちません。
今こそ不易の部分を重視した教育を思い出して欲しいと思います。