大学入試改革問題はまだ終わらない
まだ動いている入試改革
皆さんも、共通テスト型問題を生徒に解かせた後、「正解に納得いかないのがあれば後で言いにくるように」と言ってみて下さい。すると「この問題には正解がない」と言ってくる生徒がいます。そして話を聞くと生徒の言い分は間違っているのですが、設問が中途半端に現実世界と結びつけられているせいで→ https://t.co/y4CyVj2jDH
— 萩生 九 (@pseudoorthodox) 2021年6月10日
このtweetは元をたどると、以下の記事にたどり着きます。
今年度の入試は形ばかり変わった、「大学入学共通テスト」が行われました。
入試問題は、記事の中で指摘されているように、「形ばかり対話」になっています。
これは、対話なのでしょうか。
会話にすぎないように思えるものだったように感じました。
対話と会話
学習指導要領の改訂で、「主体的・対話的で深い学び」が入りました 。
対話と会話の違いは何でしょうか。
岩波の国語事典第六版には次のようにでています。
【会話】向かい合って話し合うこと。また、その話のやりとり。
【対話】向かい合って話すこと。また、その話。
違いはよくわかりません。
しかし、違うことだと感じている方も多いのではないでしょうか。
有名な「ソクラテスの対話法」が違いのヒントになるのではないでしょうか。
ソクラテスの対話法
ソクラテスは古代ギリシャアテネの哲人で、街で人をつかまえては議論をしました。
分かっていると思っていることでも深くは理解していないことを自覚させました。
ソクラテスについては岩波文庫などから「ソクラテスの弁明」「饗宴」があります。
著者は弟子のプラトンです。
ソクラテス自身は対話を重視し、書いたものは残さなかったからです。
そこから会話のようなやりとりをするのが対話ではないことが見えてきます。
自分の言っていることの矛盾に気がつき、問題を深く抉ることが必要です。
それが対話だとすると、入試問題の会話文は一体何なのでしょうか。
英語の民間試験と学習指導要領
経済格差に影響されると問題になった、英語の民間試験の利用も生きています。
試験の性質が違う上、試験相互のレベルのすりあわせも難しいとされています。
それにもかかわらず、なぜ問題の多い民間試験活用案がまだ残っているのでしょうか。
2021年度は阻止しましたが、まだ2025年度に向けて、画策が続いています。
なぜ、2025年度なのでしょうか。
2022年度に高校の新学習指導要領が始まります。
この学習指導要領は特に国語の改悪が問題視されています。
そこで育った子どもたちの初めて受験する年が2025年度入試です。
国語の学習指導要領改悪についてはまた後日書きたいと思います。
まだまだ、大学入試改革は続いています。
注視し続けること、そしておかしなことには声をあげることがこれからも必要です。