Climate Reality Project 「24時間リアリティ」行動デー 報告4(まとめ)
今回は省庁の動きと新しい取り組みの事例を紹介してまとめようと思う。
前回までの経緯
前回は石炭火力の不良債権化(座礁資産化)とグリーンニューディールについて述べた。
グリーンニューディールの肝は経済効果がある上でさらにきちんと省エネ、再エネ化を図れるということである。
ちなみにその1では会議が始まるまでを、その2では世界の気候危機の流れを、その3ではグリーンニューディールについてまとめた。
それぞれ興味のあるところからご覧いただければありがたい。
地産地消型エネルギー
原正樹氏(湘南電力株式会社代表取締役)より、地産地消のエネルギーの取り組みについて紹介があった。
3.11をきっかけに災害に強いエネルギーを、と取り組み始めたという。
37社が出資して立ち上げたのがほうとくエネルギー。
メガソーラーで2メガワットを供給している。
これを湘南電力に卸し、電気料金を得て、それを資金として、地域に還元していくことで地域を潤したいという。小田原市42施設に電力供給している。
そのうち7校に太陽光発電と蓄電池を設置している。この費用は湘南電力が負担している。この事業は分散型エネルギー網の構築として環境省の事業の一環として補助を受けている。
さらに、EV車のシェアリングをすすめているところである。
EV車を災害時の蓄電池として考えている。
将来的には林業や空家問題、商店街の活性化など地域問題解決のプラットホームとしての役割を担いたいと思っている。
これらの事業は国の補助事業として支えられている。
まだ採算性がとれていないというのが現状のようだ。
地産地消型の難しいところである。
イノベーションと規制改革について
西山裕也氏(GRjapan株式会社 公共政策アドバイザリーマネージャー)からは実際に社会にどのように技術を生かしていくのかというテーマで発表があった。
イノベーションとは「ものの見方・考え方である」
開発済みの革新技術を社会に実装する上で重要。
政策としては
- 新規参入や企業の促進
- 公平公正で透明性の高い市場整備
- 適切な教育制度
具体的には、電力の自由化やキャップ&トレードの採用による経済的インセンティブを作ることが上げられる。
安定供給優先の考え方と、環境優先の考え方とで太陽光、風力発電の評価が変わってくる。
どちらも正しい。
両者の立場を理解した上で解決策を模索すべきだとしている。
まずは身の回りから変えよう。
省庁の動き
外務省
パリ協定実施での重要ポイントは「すべての国が」実施するということ。先進国と途上国の対立ではなく協力関係に。
COP25での焦点は市場メカニズムのルール。海洋のことに関しても議長国チリが力を入れている。
環境省
緩和策=脱炭素社会に向けた具体的施策
この中のエネルギー転換部門の取り組みとしてBAT(高機能な火力発電)の採用、小規模火力発電、安全が確認された原子力発電の活用がしっかりと入っている。これは問題ではないだろうか。
適応策=気候変動的応法(平成30年6月13日公布、平成30年12月1日施行)
環境省_気候変動への適応のリンクを見ると詳細に描いた図がいろいろ出てくる。
しかし、所長横断的な図はあれども、未だ機能していないのではないかと思わせる内容の薄さであった。
経産省資源エネルギー庁
3E+Sが基本。
エネルギーミックスはCO2排出削減目標に合わせている。
アセスメント手続中又は施工中の石炭火力発電所一覧。
細かいところにも意識の違いが?
ステープラーを見ただけでも、やる気の違いが現れているように思ってしまう。
学校勤めをしていた時でも、針なしのものを使うのがメインになってきていただけに、ステープラーを久しぶりに見た。
大部数、ページ数が多いもの用の電動ステープラーでとじたもののようだ。
大所帯で素早い対応を迫られる省庁では仕方がないのかもしれない。
議員より
最後に途中から参加した衆議院議員からのコメントをもらった。
亀井亜紀子議員
農林水産委員会としてデンマークを視察した。海外では普通に温暖化の話が出てくる。建築物の建設中もCO2の排出を減らすことを考えられている。
阿部知子議員
各省庁の認識と現場との乖離が大きいのではないかと感じている。もう少し市場に丸投げせずに、FITの価格の見直し等石炭火力はやめるなど、できることがもう少しあるのではないかと考えている。
最後に改めて政府への行動強化への呼びかけ
- 2020年までに日本のCO2排出削減目標を強化し、国連へ再提出してください
- 石炭火力発電所の新設・建設計画を見直し、2030年全廃モック表を策定してください
- 脱炭素社会に向けて再生可能エネルギー100%を推進する経済再生策をすすめてください
- 気候変動適応法について実効性のある省庁横断の組織体をつくり、災害軽減策を実行してください
以上、ざっとだが今回のリポートを終える。
省庁との議論の時間が取れなかったのが残念だった。
また継続的に会を開きたいとの話もあったので、また機会があれば参加したいと思う。